治験の流れ
第Ⅰ相試験(フェーズ1)
初めて人に治験薬を投与する段階ですので、投与量の設定には細心の注意が払われており、薬理作用が全く期待できないような少量から徐々に増量する方法が採用されます。
第Ⅱ相試験:前期(フェーズ2)
治験薬の用量反応性の推測のために、少数例の患者に対する単回投与試験において低用量から投与が開始されます。
第Ⅱ相試験:後期(フェーズ2)
被験薬投与時の臨床経過を把握することにより、どの時点でどのような項目を観察すれば被験薬の特徴を証明できるか、というエンドポイントを検索します。
第Ⅲ相試験(フェーズ3)
検証的試験とも呼ばれており、100~1000人以上の被験者を対象に、有効性と安全性について既存の薬などと比較を行なう試験です。
市販後調査(フェーズ4)
日常の診療で多くの患者さんに使用されて始めてわかる薬の作用や副作用も出てきます。こうした情報の収集と報告を義務化したのが市販後調査(PMS)と呼ばれる医薬品の追跡調査です。
ブリッジング試験
海外での治験データを活用し、国内での重複試験を避け、新薬を早期に承認取得することを目的に、海外での治験の成績が、日本の患者でも再現されることを確認するための試験です。
治験の方法
比較試験
すでに販売されている薬と治験薬で効果の違いを比較したり、プラセボ(偽薬)と治験薬で効果や副作用の違いを比べたりするのが比較試験です。
二重盲検試験
治験薬の内容を、医師、患者の双方に知らせない方法が二重盲検試験(ダブル・ブラインド・テスト)です。実薬と外観は同じですが薬理作用のないもの(プラセボ)を使用します。
無作為化(ランダム化)
被験者を目的治療群(治験薬と投与して効果を調べる群)と対象群(対照薬あるいはプラセボを投与する群)のどちらに割り付けるかを乱数表などを用いてランダムに決定する手法のことです。
治験に関する機関と仕事
CRO(開発業務受託機関)
製薬会社や医療用具会社の製品開発業務の一部として、治験の企画、治験を依頼した医療機関の進行状況調査と確認を行なうモニタリング、品質管理(QC)、データマネジメント(DM)、統計解析、市販後調査のフォローまでを受託します。
SMO(治験施設支援機関)
被験者の組み入れとケア、治験薬の管理、治験施設の管理、審査委員会への諸手続きや薬事対応業務の一つまたは複数の業務を医療機関から受託または代行します。多くの場合、CRC(治験コーディネーター)を派遣して、治験業務の支援を行っています。
CRC(治験コーディネーター)
GCP(医薬品の臨床試験の実施に関する省令)に従って正しく治験が行われるよう、被験者、医師、そして治験依頼者の間に入って全体をコーディネートして調節を図る役割を担っています。
CRA(治験モニター)
各医療機関において治験が適正に行われているか監視、確認するスペシャリストのことで、一般的には「モニター」と呼ばれています。
QC(品質管理担当者)
臨床開発におけるGCP(実施基準)やSOP(標準業務手順書)などが遵守されているかどうかの確認、臨床開発に関わる各種文書(プロトコル、治験薬概要書、治験総括報告書、CTDなど)の内容を確認、SOPの作成改定など多岐に渡ります。
統計解析担当者
治験薬が既存の市販薬と比べてどのくらい効果があるのかを、生物統計学と呼ばれる手法を用いて、統計学的に証明する業務を行ないます。
医薬品業界の法律と規制
GCP(臨床試験の実施基準)
正式名称は「医薬品の臨床試験に関する実施基準」で、人を対象にした臨床試験が被験者の人権と安全性の確保という倫理的な配慮のもとに、適正かつ科学的に実施されることを目的として厚生労働省令によって定められました。
GLP(非臨床試験の実施基準)
非臨床試験に関する遵守事項を定め、適正な実施を確保し、関連した資料について信頼性の確保を図ることを目的として1997年に制定されました。
GMP(製造・品質管理基準)
基本要件は、1.製造段階における人為的な誤りを最小限にすること、2.汚染及び品質低下を防止すること、3.より高度な品質を保証するシステムを設計すること、の3つです。
GQP(品質保証基準)
医薬品、医薬部外品、化粧品および医療機器の品質管理の方法に関する基準を定めたもので、製造販売業の許可要件となっています。
GVP(安全管理基準)
「これは有害作用ではないか?」という情報を収集・検討し、どのような対応をするのかをルールにしたものです。
ICH(新薬申請の国際規格)
医薬品申請の国際的な統一を目指して日米欧三極医薬品規制調和国際会議が91年から開かれ、各国間の調整が始められました。ここでまとめられた合意事項は、会議の名称の頭文字をとってICHレギュレーションと呼ばれます。
被験者の方からのFAQ
治験モニター(参加者)募集サイト
糖尿病や高血圧、メタボリックシンドロームなどでお悩みの方を対象としたモニターの募集を行っている大手サイト(登録無料)を紹介しています。
治験の参加方法
治験への参加方法は医療機関での勧誘、新聞・雑誌等での応募、専門サイトから応募の3タイプに分類されます。さまざまな症例を対象とした新薬の治験参加者が募集されていますが、なかでも糖尿病、高血圧、排尿障害、不眠症、水虫などの募集が多いようです。
治験に参加するメリット
治験薬が既存の薬よりも効果があることがあります。また、来院ごとに協力費(負担軽減費)が支払われます。そして何よりも、同じ病気で悩む多くの患者さんたちの希望となりえる新薬の「治験ボランティア」として社会に貢献することができます。
治験に参加するデメリット
稀ではありますが、医師が予測しない副作用を引き起こす可能性があります。一定期間入院して治験を行なう必要がある場合、自由に外出できませんので、退院時に筋力が落ちている場合があります。
プラセボ(プラシーボ)とは
薬の効果を科学的に検証するための治験で使われる、薬効成分を含まない薬剤のことをいい、具体的には、錠剤では乳糖やでんぷん、注射薬では生理的食塩水などが用いられています。
インフォームド・コンセント
治験の目的や方法、プライバシーなどが記載された同意説明文書をもとに、担当医師がわかりやすい言葉で説明し、患者さんがその内容をよく理解したうえで、「自由意志」により治験に参加することに同意するということです。
参加者への謝礼(負担軽減費)
製薬会社から治験の参加者に支払われる負担軽減費の金額は、1日あたり10,000~20,000円程度です。一部のサイトでは「アルバイト代」「報酬」という言葉が使われていますが、正式に製薬会社より開発を受託している機関はそのような表現はしません。
健康被害の補償について
補償は治験に起因した健康被害に対するもので、1.無過失責任によること、2.被験者側に立証責任がないことが特徴となっています。