法的拘束力が強まった新GCP(医薬品の臨床試験の実施基準)

インフォームドコンセントを厳格化

GCP(Good Clinical Practiceの略)は、人を対象とした臨床試験(治験)が、被験者の人権と安全性の確保という倫理的な配慮の元に、適正かつ科学的に実施されることを目的として定められた「医薬品の臨床試験の実施基準」のことです。

現在のGCPは旧GCPに取って代わる形で1998年に施行されました。従来の旧GCPは法的拘束力を持たない「通達」に過ぎなかったため、治験データの改竄や捏造、被験者や患者さんへの説明不足などの問題が相次ぐなど、その存在意義が大きく問われることになりました。

そこで、法的構想力を強化するとともに、国際的な医薬品規制の基準に適合させる目的で誕生したのが新GCPです。厚生労働省の「省令」として制定された新GCPは、治験にかかわる医療機関、依頼者である製薬企業、あるいは医薬品開発受託機関(CRO)、それらの関係者が違反した場合には、法的に罰せられることになりました。

新GCPでは、被験者の人権や安全性といった倫理面、データや記録の客観性といった科学面から、「被験者の人権保護」「治験の質の確保」「データの信頼性の確保」「記録の保存」などについて細かい規定が定められています。

具体的には、治験を開始する際には治験計画を厚生労働省に提出して審査を受けること、治験の参加者に安全性や副作用などの情報を事前に伝えて同意内容を「口頭」ではなく「文書」で残すこと(インフォームド・コンセントの徹底)、医師・薬剤師・弁護士などからなる中立の委員会が、治験の倫理性・安全性・妥当性などの審査を行うこと、製薬会社・医療機関・CROなどの役割と責任分担の明確化、重大な副作用が認められた場合には国に報告すること、などが義務付けられています。