医療現場における実際の使用を想定して行なう第V相試験(フェーズV)

複数の医療機関で行なわれます

数百から数万という大きな規模の患者さんを対象に、実際の治療での使用に近い形で治験薬を投与して、第U相試験よりも詳細な情報を収集し、治験薬の有効性を調査します。抗がん剤の場合は、製造販売後に実施されることもあります。

治療現場での使用を想定しているため、薬剤が治療対象としている疾患だけではなく、様々な合併症を持つ患者さんに投与を行なったり、半年から1年に渡る長期試験を実施したり、「盲検法」によって既に有効性が確認され市販されている薬剤と治療効果を比較したり、といった試験も行なわれます。

盲検法とは、外見は治験薬と同じですが、有効成分を全く含んでいないプラセボ(偽薬)を用いて、使用する医師が治験薬なのか、偽や区なのか判らないようにして行う試験です。

何故このような方法が採られるかというと、名医が処方すると薬効のない「うどん粉」で病気が治るというような、思い込みによる治療効果を除いて、はっきりと治験薬の効果を確認するためです。

医師に「大丈夫ですよ」と言われただけで、随分症状が和らいだというケースは少なくありません。アレルギー性疾患などは、転向や季節に影響されるため、治験薬の効果を立証するためには注意深い試験デザインが必要なのです。

病気の種類や試験のデザインによって差はあるものの、第V相試験は、通常、数百例〜1万人規模と大掛かりな試験を実施することが多いため、コストも莫大な金額となります。当然ながらこの段階で有効性が見出せず、開発中止に追い込まれると、製薬企業の損失は大きくなります。そのため、第三相のリスクを軽減する目的で、他企業との共同開発に踏み切るケースもしばしば見られます。

第T相から第V相までの試験成績をまとめ、医薬品の製造販売承認申請が行なわれます。規制当局である医薬品医療機器総合機構(PMDA)による審査を受けて承認されると、晴れて医薬品としての販売が可能となります。